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和歌山県×Airbnb、空き家を宿泊施設へ|官民連携で進む「空き家×宿泊×地域創生」の新たな動き

和歌山県とAirbnb Japanが連携協定を締結

2026年9月8日、和歌山県とAirbnb Japanは、県内の空き家の利活用を通じて住民主体の地域づくりを促進し、地域に関わる人流を増やすことを目的とした連携協定を締結しました。

和歌山県では、人口減少や少子高齢化などを背景として、県内各地で空き家の増加や地域づくりの担い手不足が課題となっています。

そこで今回、和歌山県が進める空き家対策と、Airbnbが持つ宿泊・ホームシェアリングに関する知見やネットワークを組み合わせ、空き家を新たな地域資源として活用していく取り組みが始まります。

 

具体的には、主に次のような施策が予定されています。

・空き家を宿泊施設として活用したい住民・事業者向けの「民泊スタートアップセミナー」の開催

・宿泊施設開業に向けたノウハウの提供・相談対応

・自治体職員向けの空き家を活用したまちづくりに関する勉強会

・空き家バンクへの登録促進

・地域おこし協力隊向けのセミナー

・空き家活用を担う地域人材の育成

・地域内外の関連事業者とのマッチング

Airbnb Japanは「宿泊向け空き家活用アドバイザー」として、宿泊施設の立ち上げや運営に関するアドバイス、課題解決、関連事業者とのマッチングなどを担います。

まずは橋本市・伊都郡エリアを含む伊都振興局管轄エリアで取り組みを進め、その成果を踏まえながら和歌山県内の他地域への展開も検討されています。

 


ポイントは「空き家対策」から「地域への投資」へ変わりつつあること

今回のニュースを宿泊投資の視点から見ると、重要なのは、空き家を単に減らすのではなく、「収益を生む宿泊資産」へ転換しようとしていることです。

 

従来の空き家対策では、

「空き家バンクに登録する」

「移住者へ売却・賃貸する」

「解体する」

といった選択肢が中心でした。

 

しかし、観光需要やインバウンド需要が存在する地域では、もう一つの選択肢として、

空き家 → 改修 → 宿泊施設化 → 旅行者の滞在 → 地域消費

という循環をつくることができます。

 

宿泊施設が一つ生まれることで、宿泊売上だけでなく、飲食店、小売店、交通、観光体験、清掃、リネン、施設管理など、周辺事業者にも経済効果が広がります。

その意味では、空き家の宿泊活用は「不動産の再利用」であると同時に、地域に小さな経済圏を生み出す取り組みとも考えられます。

 


AirbnbとJTBは「地域未来にぎわい工房」も展開

今回の和歌山県での取り組みは、Airbnb JapanとJTBが進める「地域未来にぎわい工房」とも連携する予定です。

「地域未来にぎわい工房」は、空き家などの遊休資産を滞在資源へ転換し、企業・自治体・地域住民などが連携して持続的な地域づくりを進める取り組みです。

AirbnbとJTBは、2028年までに全国125地域への展開を目指しています。

 

すでに北海道上ノ国町では、地域住民や高校生が参加するDIYやワークショップを通じて2軒の空き家を宿泊施設へ転換する取り組みが進められ、将来的には町全体で30〜40軒の滞在拠点を整備する構想も示されています。

つまり、今回の和歌山県との協定だけを見るのではなく、全国各地に存在する遊休不動産を「滞在できる地域資産」へ変えていく大きな流れの一つとして捉える必要があります。

 


「一棟の宿」ではなく「地域全体を宿泊施設にする」可能性

こうした取り組みが全国へ広がることで、宿泊施設のあり方そのものが変わっていく可能性があります。

例えば、地域に存在する複数の空き家を改修し、

宿泊棟
レストラン
カフェ
サウナ
地域交流拠点
体験施設

などとして活用すれば、一つの大型ホテルを建設しなくても、地域全体を一つの宿泊施設のように機能させることができます。

 

いわゆる「分散型ホテル」の考え方です。

 

既存建物を活用することで、その土地に残る建築や街並みを生かしながら宿泊需要を取り込める点も特徴です。

地方では大型ホテルを新築するほどの需要や投資規模が確保できない地域でも、空き家を一棟ずつ活用することで、小規模な投資から地域の宿泊機能を増やしていくことができます。

 


空き家なら何でも宿泊施設にできるわけではない

一方で、注意しなければならないのが、「空き家がある=民泊や宿泊施設として活用できる」というわけではないことです。

実際に宿泊事業を始めるためには、物件ごとにさまざまな確認が必要になります。

代表的なものとしては、

・用途地域・都市計画

・建築基準法

・消防法

・旅館業法または住宅宿泊事業法

・自治体独自の条例

・接道状況

・建物用途

・建物の安全性

・消防設備

・改修費

・周辺住民への対応

などがあります。

 

特に築年数の古い空き家の場合、購入価格自体は安くても、耐震、消防、給排水、屋根、外壁、断熱などの改修によって想定以上の費用が発生するケースがあります。

そのため、空き家を宿泊施設として取得する場合には、単純な不動産価格だけではなく、

「取得費+改修費+開業費+運営費」

まで含めて投資判断することが重要です。

 


宿泊投資として重要なのは「泊まりたい理由」があるか

もう一つ重要なのが、宿泊施設としての需要です。

物件を安く取得できたとしても、宿泊需要がなければ投資として成立しません。

特に地方の空き家活用では、

「空き家があるから民泊にする」

という発想ではなく、

「この地域に泊まりたい人がいるのか」

という需要側から考える必要があります。

 

例えば、

・観光地へのアクセス

・世界遺産や歴史文化

・温泉

・自然

・食

・アクティビティ

・ワーケーション

・長期滞在

・地域ならではの体験

など、「その地域に滞在する理由」があるかどうかが重要になります。

 

さらに、周辺のホテル・旅館・民泊のADR(平均客室単価)、稼働率、季節変動、競合施設数などを調査し、事業収支を検証する必要があります。

き家活用で重要なのは、物件を見つけることではなく、その物件を「選ばれる宿泊施設」に変えられるかどうかです。

 


空き家活用が「宿泊M&A」につながる可能性

INVESTELでは、今回の動きは宿泊施設の新規開業だけでなく、将来的な宿泊M&A市場の拡大にもつながる可能性があると考えています。

空き家を取得・賃借して宿泊施設を立ち上げる事業者が増えれば、その数年後には、

「別事業へ集中したい」

「運営から撤退したい」

「後継者がいない」

「施設を複数運営するため一部を売却したい」

といった理由から、宿泊事業を第三者へ引き継ぐケースも増えていく可能性があります。

その際、選択肢は不動産売却だけではありません。

 

不動産売買、事業譲渡、株式譲渡、賃貸借契約を活用した事業承継など、施設の所有形態や運営状況によってさまざまな承継方法が考えられます。

 

つまり、

空き家の発掘
→ 宿泊施設への再生
→ 運営
→ 事業価値の向上
→ 次の運営者・投資家への承継

という、新しい宿泊資産の循環が生まれる可能性があります。

 

これは、空き家を「使われなくなった不動産」として見るのではなく、再生・運営・承継できる宿泊資産として捉える考え方です。

 


今後、地方の「小さな宿泊投資」が増えていく可能性

ホテル投資というと、これまでは数億円から数十億円規模のホテル・旅館への投資が中心でした。

しかし、空き家や古民家などを活用した宿泊施設が増えることで、より小規模な宿泊投資の選択肢が増える可能性があります。

一棟の戸建て、古民家、小規模旅館、遊休保養所など、これまで一般的な不動産投資市場では評価されにくかった物件でも、宿泊事業として再生することで新たな価値が生まれる可能性があります。

 

一方で、宿泊施設は通常の収益不動産とは異なり、運営によって収益が大きく変化する「事業性の高い不動産」です。

だからこそ、

不動産価値だけではなく、「宿泊事業としてどれだけ稼げるか」を含めて評価すること

が、今後さらに重要になっていくでしょう。

 


まとめ|空き家を「負動産」から「地域の宿泊資産」へ

今回の和歌山県とAirbnb Japanの連携協定は、空き家問題を単なる不動産問題としてではなく、宿泊・観光・関係人口・地域経済まで含めて解決しようとする取り組みです。

 

特に注目したいのは、

空き家を宿泊施設へ転換し、人を呼び込み、地域に消費を生み、その事業を次の担い手へつないでいく

という循環です。

 

今後、AirbnbやJTB、自治体、地域事業者などによる取り組みが全国へ広がれば、これまで活用されていなかった空き家や遊休不動産が、新たな宿泊投資の対象として市場に出てくる可能性があります。

 

ただし、宿泊施設への転換には、許認可、建築・消防、改修費、宿泊需要、運営体制など多くの検討事項があります。

 

「安い空き家を買う」のではなく、

その地域に滞在需要があるのか。
どのような宿にすれば選ばれるのか。
いくら投資し、どれだけ収益を生み出せるのか。
そして将来、誰に引き継ぐことができるのか。

ここまでを一体として考えることが、これからの空き家を活用した宿泊投資では重要になるでしょう。

 


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参考資料

・Airbnb Newsroom「和歌山県とAirbnb Japan、空き家の利活用による地域のにぎわい創出を目的とした連携協定を締結。」(2026年9月8日)

・和歌山県「和歌山県とAirbnb Japan株式会社が連携協定を締結しました!」

Airbnb NewsroomAirbnbJTBと共に『地域未来にぎわい工房』を創設。地域の遊休資産を滞在資源に変える、新たなまちづくりを目指して」

https://news.airbnb.com/ja/wakayama-mou-2026

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