販売価格

最低

ー

最高

想定利回り

売上高

最低

ー

最高

売却スキーム

ホテルタイプ

特徴・設備

客室数

間取り

延床面積

~

築年数

対応言語

建物構造

駅までの距離

すべてクリア

民泊は増えているのに、累計2.3万件が廃業?「民泊淘汰時代」に生き残る施設の条件

日本の民泊市場は成長しています。

観光庁によると、2026年7月15日時点で、住宅宿泊事業法に基づき現在届出されている住宅数は、

42,070件。

インバウンド需要の回復・拡大を背景に、民泊への参入を検討する個人・法人も増えています。

 

しかし、同じ統計を少し違う角度から見ると、もう一つ興味深い数字があります。

住宅宿泊事業法施行後の累計届出件数は、

65,837件。

そのうち事業廃止件数は、

23,767件。

単純計算すると、累計届出件数の約36%に相当する事業廃止が発生しています。

 

もちろん、

「36%の民泊が経営に失敗した」

という意味ではありません。

住宅宿泊事業から旅館業へ切り替えた施設。

物件売却に伴って廃止した施設。

事業者変更や運営スキーム変更によるもの。

一時的に民泊事業から撤退したケース。

なども含まれるためです。

 

それでも、

「民泊は増えている」

という数字だけを見ていては、市場の実態を十分に理解できません。

新しく始める人がいる一方で、毎年多くの事業者が市場から退出している。

 

つまり民泊市場は、

「参入の時代」から「選別・淘汰の時代」

へ入り始めているのではないでしょうか。

 

今回は、

なぜ民泊は廃業するのか。

これからの民泊運営では何が重要なのか。

どのような民泊が選ばれるのか。

そして、

M&Aで「売れる民泊」と「売れない民泊」は何が違うのか。

INVESTELの視点から考えていきます。

 


1.民泊は4.2万施設へ拡大。しかし累計2.3万件が事業廃止

まず数字を整理します。

2026年7月15日時点の住宅宿泊事業法に基づく状況は、

累計届出件数:65,837件

累計事業廃止件数:23,767件

現在の届出住宅数:42,070件

です。

 

つまり、

新しい民泊が増え続ける一方で、退出も継続的に発生している市場

だということです。

民泊は、

「物件を借りてAirbnbへ掲載すれば儲かる」

という単純なビジネスではなくなっています。

 


2.なぜ「廃業=失敗」とは言えないのか

まず大前提として、

事業廃止件数23,767件をすべて「失敗」と捉えるべきではありません。

例えば、住宅宿泊事業として運営していた施設が、

旅館業許可へ切り替える

ケースがあります。

 

住宅宿泊事業には年間180日という営業日数の上限があります。

一方、旅館業として適法に営業できれば、住宅宿泊事業とは異なる営業が可能になります。

つまり、

住宅宿泊事業を廃止

↓

旅館業へ移行

というケースは、

撤退ではなく、

「事業のステップアップ」

とも考えられます。

また、

民泊を高値で売却した。

事業譲渡した。

建物を売却した。

というケースもあります。

したがって重要なのは、

「何件廃業したか」だけではなく、「なぜ廃業したのか」

です。

 


3.それでも、民泊は「簡単に儲かる事業」ではない

一方で、収益性や運営上の問題から撤退する民泊が存在することも当然考えられます。

民泊経営には、

家賃・ローン。

清掃費。

OTA手数料。

リネン費。

水道光熱費。

消耗品。

住宅宿泊管理業者への委託費。

システム費。

修繕費。

近隣対応。

など、さまざまなコストが発生します。

さらに、

競合施設の増加。

ADR競争。

規制強化。

人件費上昇。

清掃費上昇。

といった環境変化もあります。

つまり、

「売上がある民泊」と「利益が残る民泊」は違う

ということです。

 


4.民泊経営で最も危険なのは「売上」だけを見ること

例えば、年間売上2,000万円の民泊があったとします。

一見すると非常に魅力的です。

しかし、

家賃:600万円

清掃関連費:300万円

OTA・決済手数料:250万円

運営代行費:300万円

光熱費・通信費:150万円

消耗品・修繕等:150万円

その他:100万円

だったとすると、

残る利益は、

150万円。

売上2,000万円という数字だけを見るのと、まったく印象が違います。

民泊経営で重要なのは、

売上ではなく、

「1室・1施設から最終的にいくらキャッシュが残るのか」

です。

 


5.「高稼働率の民泊」が優秀とは限らない

もう一つ注意したいのが、

稼働率です。

稼働率90%。

と聞くと非常に良い施設に見えます。

しかし、

1泊15,000円 × 稼働率90%

と、

1泊30,000円 × 稼働率60%

では、

後者の方が客室売上が高くなることがあります。

さらに宿泊回数が増えれば、

清掃回数。

リネン交換。

ゲスト対応。

なども増えます。

重要なのは、

「満室にすること」ではなく「利益を最大化すること」。

ホテルと同じように、民泊にもRevenue Managementが必要です。

 


6.これから求められるのは「泊まる理由がある民泊」

民泊が少なかった時代は、

「ホテルより安い」

「大人数で泊まれる」

「キッチンがある」

だけでも差別化できました。

しかし4万件を超える市場では、それだけでは埋もれてしまいます。

 

これから必要なのは、

「なぜ、この施設に泊まるのか」

という理由です。

例えば、

一棟貸し。

大人数対応。

サウナ。

温泉。

BBQ。

ペット同伴。

オーシャンビュー。

古民家。

建築・デザイン。

子連れ対応。

長期滞在。

地域体験。

などです。

「民泊」というカテゴリーそのものではなく、

宿泊商品としての明確な価値

が必要になります。

 


7.「誰に泊まってほしいか」が明確な施設は強い

例えば、

「外国人観光客向け」

だけでは広すぎます。

中国・台湾からの家族旅行。

欧米からの長期滞在。

韓国からの若年グループ。

三世代旅行。

ペット連れ。

サーファー。

スキー客。

ワーケーション。

など、宿泊目的によって必要な設備も価格も変わります。

これからの民泊経営では、

「誰でも泊まれる施設」より「特定の人に選ばれる施設」

の方が強くなる可能性があります。

 


8.OTAに依存しすぎない

Airbnb。

Booking.com。

楽天トラベル。

じゃらん。

Agoda。

OTAは民泊経営に不可欠な集客インフラです。

しかし、

予約の100%をOTAに依存している施設

にはリスクがあります。

手数料。

掲載順位。

アルゴリズム。

規約変更。

アカウント。

競合との価格比較。

など、自分ではコントロールできない要素が多いからです。

そのため、

Instagram。

Google。

公式サイト。

LINE。

メール。

リピーター。

紹介。

など、

「自分たちで顧客とつながるチャネル」

を持つことも重要になります。

 


9.「無人化」より「少人数でも管理できる仕組み」

民泊運営では、

スマートロック。

自動チェックイン。

自動メッセージ。

AIチャット。

PMS。

ダイナミックプライシング。

などの自動化が進んでいます。

これは非常に重要です。

 

しかし、

無人化=運営力が高い

ではありません。

騒音。

ごみ。

鍵のトラブル。

設備故障。

近隣クレーム。

深夜の緊急対応。

が発生したときに誰が対応するのか。

実際、国土交通省が2025年度に44の住宅宿泊管理業者へ立入検査を行ったところ、35業者が是正指導を受けています。

今後は特に、宿泊者の迷惑行為への迅速な対応など、適切に管理されていない民泊への指導を重点化する方針です。

これから必要なのは、

「人を使わない運営」ではなく「少人数でも品質と管理責任を維持できる運営」

です。

 


10.「地域と共存できるか」が事業継続条件になる

民泊経営において、これまで以上に重要になるのが、

近隣住民との関係

です。

 

例えば大田区では2026年4月から民泊関連ガイドラインを強化し、

説明会の義務化。

近隣周知範囲の拡大。

緊急時の駆け付け体制強化。

ごみ回収頻度の増加。

などを進めています。

 

今後、

売上は高い。

レビューも良い。

しかし近隣から苦情が多い。

という施設は、

「事業として持続可能ではない」

と評価される可能性があります。

民泊の価値は、

ゲスト満足度だけではなく、

地域から許容される運営かどうか

でも決まる時代になりつつあります。

 


11.「住宅宿泊事業のままでいいのか?」も考える

年間180日以内で十分なのか。

旅館業へ切り替えた方がよいのか。

特区民泊が適しているのか。

これも経営判断です。

例えば年間180日制限によって、

繁忙期には満室でも年間利益が伸ばせない。

一方、立地・建物・消防設備等の条件を整えることで旅館業許可を取得できる。

のであれば、

追加投資をして365日営業可能なモデルへ転換する

という選択肢があります。

「民泊を続けるか・辞めるか」

だけではなく、

「どの宿泊事業スキームが、この物件の収益を最大化するか」

を考える必要があります。

 


12.これから求められる民泊の7つの条件

INVESTELでは、これからの民泊市場で残る施設には、大きく7つの条件があると考えています。

① 明確な宿泊理由がある

価格以外の理由で選ばれる。

 

② ターゲットが明確

誰のための施設なのかが分かる。

 

③ ADRを取れる

安売りで稼働率を作らない。

 

④ 運営利益が残る

売上ではなく利益を管理する。

 

⑤ OTAだけに依存しない

直販・リピーター・SNSなどの顧客接点を持つ。

 

⑥ 運営が仕組み化されている

オーナー本人が毎日対応しなくても回る。

 

⑦ 地域と共存できる

騒音・ごみ・緊急対応・近隣対応まで管理できる。

 

この7つが揃うほど、

単なる「民泊物件」ではなく、

一つの宿泊事業

として価値を持つようになります。

 


13.そして「売れる民泊」になる

ここからがINVESTELとして特に重要な視点です。

民泊を始めるとき、多くの人は、

「いくら儲かるか」

を考えます。

しかし、本来もう一つ考えるべきなのが、

「最後に誰へ売れるのか」

です。

 

例えば5年間運営して、

売上3,000万円。

営業利益800万円。

レビュー1,000件。

直販比率30%。

リピーター率20%。

清掃・運営SOP整備済み。

近隣トラブルなし。

オーナー不在でも運営可能。

という施設なら、

買主は単なる家具や内装を買うわけではありません。

年間800万円を生み出す宿泊事業

を買うことになります。

 


14.逆に「売れない民泊」とは?

例えば、

売上は高い。

しかし、

オーナーが毎日ゲスト対応。

清掃員は個人の知人。

予約はすべてオーナーのInstagram。

契約書がない。

収支管理がない。

近隣クレームがある。

OTAアカウント承継も不明。

という状態だったらどうでしょうか。

オーナー本人にとっては利益が出ていても、

買主からすると、

「自分が買った後に再現できるのか分からない事業」

です。

つまり、

儲かる民泊と、売れる民泊は違います。

 


15.「オーナーがいなくても利益が残るか」

民泊M&Aで最も重要な問いの一つが、

「明日オーナーがいなくなっても、この施設は同じように運営できますか?」

です。

YESなら、

事業としての価値があります。

NOなら、

その利益の一部は、

オーナー個人の労働力に依存しています。

M&Aでは、この違いが非常に重要です。

 


16.売却価格は「過去売上」ではなく「再現できる利益」で決まる

例えば2つの民泊があります。

民泊A

売上3,000万円
利益900万円
オーナーが毎日運営

民泊B

売上2,700万円
利益800万円
運営完全仕組み化

数字だけならAの方が優秀です。

しかし買主からすると、

Bの方が取得後の利益を再現しやすい可能性があります。

M&Aで価値になるのは、

「現在のオーナーがいくら稼げたか」ではなく、「次のオーナーもいくら稼げるか」

だからです。

 


17.廃業が増えることは、市場にとって悪いことなのか?

ここで少し逆の見方をしてみます。

事業廃止が多い。

というと、

「民泊市場は危ない」

と思うかもしれません。

しかし必ずしもそうではありません。

採算の合わない施設。

管理できない施設。

差別化できない施設。

地域と共存できない施設。

が市場から退出し、

一方で、

旅館業へ転換する。

複数施設を統合する。

プロ運営会社へ売却する。

ブランド化する。

M&Aによって運営者が変わる。

という動きが増えるのであれば、

これは、

市場の成熟

とも考えられます。

 


18.「民泊ブーム」の次に来るのは「民泊M&A」かもしれない

民泊市場が拡大すれば、

当然、

辞めたいオーナー

も増えます。

高齢化。

本業への集中。

管理負担。

利益悪化。

規制。

相続。

資産整理。

など、売却理由はさまざまです。

 

一方、

自分でゼロから民泊を立ち上げるより、

すでに運営されている施設を買いたい

という事業者も出てきます。

すると、

「開業」から「買収」へ

という市場が生まれます。

ホテル・旅館と同じように、

民泊も、

作る。

運営する。

改善する。

売る。

買う。

再生する。

という、

事業のライフサイクル

を持つ市場になっていく可能性があります。

 


19.「民泊淘汰時代」に重要なこと

累計65,837件が届出され、

そのうち23,767件が事業廃止。

そして現在は42,070件。

この数字から読み取るべきなのは、

「民泊は危ない」

でも、

「民泊は儲かる」

でもありません。

民泊も、普通の事業になった。

ということではないでしょうか。

 

開業すれば儲かる。

Airbnbへ載せれば埋まる。

インバウンドが増えれば売上が伸びる。

という市場から、

商品を作る。

価格を管理する。

コストを管理する。

顧客を作る。

地域と共存する。

運営を仕組み化する。

そして出口を考える。

という、

経営力が問われる市場

へ変わっています。

 

「始められる民泊」から「続けられる民泊」へ

これから重要なのは、

民泊を始められるかどうかではありません。

5年後も利益を出しながら続けられるか。

そしてさらに、

自分が辞めるとき、次の運営者へ事業として引き継げるか。

です。

民泊の本当の価値は、

家具。

内装。

Airbnbのページ。

だけではありません。

ブランド。

顧客。

レビュー。

運営体制。

収益力。

地域との関係。

そして、

オーナーが変わっても再現できる仕組み。

そこまで作れて初めて、

「民泊物件」から、

「売れる宿泊事業」

へ変わります。

民泊が4万施設を超えた今、

これから問われるのは、

「何施設増えたか」ではなく、「どんな施設が残るのか」。

民泊市場は、拡大の次のフェーズへ入り始めているのかもしれません。

 


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