販売価格

最低

最高

想定利回り

売上高

最低

最高

売却スキーム

ホテルタイプ

特徴・設備

客室数

間取り

延床面積

築年数

対応言語

建物構造

駅までの距離

すべてクリア

宿泊施設のM&A・購入に必要な初期費用はいくら?物件価格以外の費用と資金計画

「3,000万円の民泊を買うなら、3,000万円用意すればいい」

「1億円の旅館なら、自己資金はいくら必要?」

 

ホテル・旅館・民泊などの宿泊施設への投資を検討し始めると、多くの方が最初に気になるのが「結局、総額でいくら必要なのか」という点ではないでしょうか。

 

宿泊施設を取得する際に必要なのは、案件ページに掲載されている「売却希望価格」だけではありません。

不動産取得に伴う税金や登記費用、M&A・不動産仲介にかかる費用、デューデリジェンス(DD)費用、設備更新・改装費、開業準備費、そして取得後の運転資金など、さまざまな費用が発生します。

 

特に宿泊施設では、建物を取得した後に、

「消防設備の追加工事が必要だった」

「給湯設備の更新が必要になった」

「想定より開業準備に時間がかかった」

「取得後すぐに大規模修繕が発生した」

といったことも考えられます。

 

そのため、宿泊投資では「いくらで買えるか」ではなく、「取得して安定運営するまでに総額でいくら必要か」を考えることが重要です。

 

この記事では、民泊・簡易宿所・旅館・ホテルなどをM&Aや不動産売買で取得する際に必要となる費用を整理し、資金計画や融資を考える際のポイントまで解説します。

この記事でわかること

◎宿泊施設のM&A・購入で必要になる費用

◎物件価格以外に準備しておきたい諸費用

◎株式譲渡・事業譲渡・不動産売買による費用の違い

◎CAPEX(設備投資・修繕費)をどう考えるか

◎開業・引継ぎ後に必要となる運転資金

◎自己資金・融資を考える際のポイント

◎宿泊投資で「総投資額」を考える方法

 

監修:INVESTEL M&Aアドバイザリーチーム

 


1. 宿泊施設の取得では「物件価格」ではなく「総投資額」を見る

宿泊施設の購入を検討する際、まず目に入るのは「売却希望価格」です。

しかし、投資判断では売却希望価格だけを見るのでは不十分です。

 

INVESTELでは、宿泊施設を取得する際の資金を大きく次のように考えることをおすすめします。

総投資額の基本的な考え方

総投資額
= 取得価格
+ 取得諸費用
+ 改装・設備投資(CAPEX)
+ 開業・引継ぎ費用
+ 運転資金

※ 賃貸初期費用(賃貸物件の場合)

 

例えば、5,000万円で取得できる宿泊施設でも、

  • 取得諸費用:300万円
  • 改装・設備更新:800万円
  • 開業準備:100万円
  • 運転資金:500万円

が必要なら、実際に考えるべき総投資額は6,700万円です。

逆に、既に営業中で設備状態も良く、そのまま運営を引き継げる施設なら、取得後の追加投資を抑えられる可能性があります。

 

つまり、

「安く買える物件=投資額が小さい物件」ではありません。

取得後に必要となる資金まで含めて比較することが重要です。

 


2. 宿泊施設の購入で必要になる主な費用

宿泊施設を取得する際に想定しておきたい費用を整理すると、大きく6つに分けられます。

 

ここから、それぞれ詳しく見ていきます。

① 取得価格

最も大きいのが、宿泊施設そのものを取得するための費用です。

ただし「取得価格」が何を意味するのかは、案件によって異なります。

 

例えば、

不動産売買
→ 土地・建物を取得する

事業譲渡
→ 宿泊事業、設備、契約等を個別に取得する

株式譲渡
→ 宿泊事業を保有する会社の株式を取得する

という違いがあります。

ここを理解せずに「5,000万円の宿泊案件」とだけ比較するのは危険です。

何に対して5,000万円を支払うのかを最初に確認する必要があります。

 


3. 不動産を取得する場合に必要になる諸費用

土地・建物を取得する場合には、取得価格以外にも複数の費用が発生します。

 

代表的なものとして、

・不動産取得税

・登録免許税

・司法書士報酬

・売買契約書の印紙税

・不動産仲介手数料

・固定資産税・都市計画税等の精算

・融資事務手数料

・抵当権設定に関する費用

・火災保険等

などがあります。

ここで注意したいのが、税金の多くは単純に売買価格へ一定割合を掛ければ計算できるわけではないということです。

 

例えば不動産取得税は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格を基準として計算されます。東京都主税局も、不動産取得税について「不動産を取得したときに一度だけ課税される税金」であり、原則として固定資産課税台帳に登録された価格を課税標準とすると説明しています。

 

そのため、

「売買価格1億円だから不動産取得税は○%で○○万円」

と単純計算するのではなく、個別案件ごとに確認する必要があります。

 


4. M&Aでは取引スキームによって費用が変わる

宿泊施設の取得で特に重要なのが、どのスキームで取得するのかです。

例えば、旅館を所有している会社の株式を100%取得する場合、建物の所有者である法人そのものは変わりません。一方、土地・建物を直接取得する場合には、不動産の所有権が移転します。

 

したがって、

同じ「1億円の旅館を買う」でも、株式譲渡と不動産売買では取得時に必要となる費用構造が異なります。

税務面まで含め、取得スキームを決める前に専門家へ確認することが重要です。

 


5. 仲介手数料は「M&A」と「不動産」で分けて考える

不動産仲介

不動産売買の媒介報酬には、宅地建物取引業法に基づく上限があります。

国土交通省が定める報酬額の告示に基づいて計算されるため、案件価格や契約形態によって確認する必要があります。

M&A仲介

一方、M&A仲介では、

・レーマン方式

・最低成功報酬

・着手金

・中間金

・成功報酬

など、会社によって料金体系が異なります。

 

そのため、宿泊M&Aでは、

「不動産仲介手数料なのか、M&A仲介手数料なのか、それとも双方が発生するのか」

を確認する必要があります。

取得価格だけを見ていると、この部分が資金計画から抜けることがあります。

 


6. DD(デューデリジェンス)費用

一定規模以上の宿泊施設を取得する場合、DD費用も想定しておきたいところです。

DDとは、取得前に対象施設・事業について調査することです。

 

宿泊M&Aでは、

財務・税務DD

売上、利益、債務、税務リスク等

 

法務DD

契約、訴訟、雇用、株式等

 

不動産DD

権利関係、境界、契約等

 

建物・設備DD

建物状態、設備、修繕履歴、将来CAPEX等

 

許認可DD

旅館業許可、住宅宿泊事業、消防、飲食等

 

事業DD

事業収支、運営方法等

などが考えられます。

 

すべての案件で大規模なDDを行う必要があるわけではありません。

3,000万円の小規模民泊と数億円の旅館では、調査範囲も費用も当然異なります。

 

重要なのは、

案件規模とリスクに応じて「どこまで調べるべきか」を決めることです。

 


7. 宿泊投資で特に見落としやすい「CAPEX」

宿泊施設の取得で、初めて投資する方が見落としやすいのがCAPEX(資本的支出)です。

ホテル・旅館は住宅とは異なり、多数のゲストが継続的に利用します。

 

そのため、

・空調

・給湯

・給排水

・屋根・外壁

・防水

・エレベーター

・厨房

・消防設備

・客室

・家具・家電

・浴場設備

など、さまざまな設備の更新が発生します。

 

例えば取得価格8,000万円の旅館でも、取得後に、

給湯設備500万円
+空調300万円
+客室改装1,000万円

が必要なら、実質的な投資額は大きく変わります。

 

そのため、取得価格だけではなく、

「取得後3〜5年間で、どの程度の修繕・設備投資が必要になりそうか」

までDDで確認することが重要です。

 


8. 「改装費」と「必要工事」は分けて考える

宿泊施設の改装では、もう一つ重要な考え方があります。

 

それが、

①収益向上のために行う改装

と、

②営業・安全確保等のために必要となる工事

を分けることです。

 

例えば、

収益向上のための投資

・客室デザイン変更

・家具交換

・サウナ新設

・露天風呂新設

・共用部リニューアル

 

必要性を確認すべき工事

・消防設備

・建築関係

・給排水

・電気設備

・老朽設備

・防水

などです。

 

前者は、

「投資することでADRや稼働率がどれくらい上がるか」

という投資判断になります。

後者は、場合によっては取得後すぐに対応が必要になる可能性があります。

両者をまとめて「リフォーム代」と考えないことが重要です。

 


9. 開業・引継ぎ費用も忘れない

既存の宿泊施設を取得した場合でも、そのまま何もせず営業開始できるとは限りません。

 

例えば、

・PMS

・サイトコントローラー

・スマートロック

・Wi-Fi

・POS

・電話

・OTA設定

・Webサイト

・写真撮影

・アメニティ

・リネン

・備品

・制服

・採用

・研修

・販促

など、細かな費用が発生することがあります。

一つひとつは大きくなくても、積み上げると無視できない金額になります。

 

また、既存の契約・システム・OTAアカウント等をそのまま引き継げるとは限らないため、DD時に「何が承継され、何を新しく契約する必要があるのか」まで確認することが重要です。

 


10. 運転資金は「3か月あれば十分」とは限らない

必要な運転資金は、

・既存営業をそのまま引き継ぐのか

・一度休館して改装するのか

・新規開業するのか

・繁忙期前なのか閑散期前なのか

・OTA予約がどこまで入っているのか

・人員を新規採用するのか

などによって大きく変わるからです。

 

例えば取得後3か月間、

売上が想定の70%しか上がらなくても、借入返済・人件費・賃料等を支払えるか。

このようなストレスケースまで考えて運転資金を設定する方が実務的です。

 


11. 「取得価格」ではなく総投資額で利回りを見る

例えば、

年間NOI:1,000万円
取得価格:1億円

なら、

1,000万円 ÷ 1億円 = 10%

です。

 

しかし実際には、

取得価格:1億円
取得諸費用:700万円
CAPEX:1,500万円
その他:1,000万円

で総投資額が1億3,200万円なら、

1,000万円 ÷ 1億3,200万円 7.6%

となります。

 

つまり、

取得価格ベースでは10%に見えた投資が、総投資額ベースでは約7.6%になる

ということです。

 

宿泊投資では、表面上の取得価格だけではなく、「All-in Cost(総投資額)」に対してどれだけ収益を生み出せるかを見ることが重要です。

 


12. 自己資金はいくら必要?

「1億円の旅館を買うなら、自己資金はいくら必要ですか?」

という質問も多くあります。

しかし、これについても一律に「20%」「30%」とは言えません。

 

金融機関が見るのは、

・購入者の財務状況

・自己資金

・宿泊事業の経験

・対象不動産の担保価値

・既存施設の収益実績

・事業計画

・借入期間

・返済原資

・既存借入

・個人・法人の信用力

など、多岐にわたります。

 

日本政策金融公庫にも旅館業を対象に含む「生活衛生貸付」があり、設備資金・運転資金を対象とする制度がありますが、利用条件や融資限度額等は制度ごとに定められています。

 

したがって、まずは、

自己資金+融資可能額=取得価格

と考えるのではなく、

自己資金+融資可能額=総投資額+必要な手元資金

として考えることが重要です。

 


13. 「借りられるか」より「返せるか」を見る

融資でさらに重要なのが、返済可能性です。

 

宿泊投資では、

DSCR(Debt Service Coverage Ratio)

という指標があります。

 

簡単に言えば、

事業から生まれるキャッシュフローで、年間の借入返済額をどれだけカバーできるか

を見る指標です。

 

例えば、

年間返済原資:1,500万円
年間元利返済:1,000万円

なら、

DSCR=1.5倍

です。

 

一方、年間返済原資が1,000万円で年間返済額も1,000万円なら、少し売上が下振れしただけで返済余力がなくなります。

したがって融資では、

「最大いくら借りられるか」ではなく、「売上が下振れしても返済できるか」

を見ることが重要です。

 


14. 初期費用で見落としやすい項目

最後に、宿泊施設取得時に資金計画から漏れやすい項目を整理します。

・固定資産税等の精算

・保険料

・DD費用

・司法書士・税理士・弁護士等の専門家費用

・融資事務手数料

・抵当権設定費用

・消防設備

・許認可関係

・システム導入

・OTA・Web関連

・写真撮影

・採用・研修

・備品・リネン

・修繕

・開業前人件費

・休館期間中の固定費

・取得後の運転資金

 

そしてもう一つ重要なのが、予備費です。

建物DDを行っても、取得後に想定外の設備不具合が発生する可能性を完全になくすことはできません。

資金をすべて取得時に使い切るのではなく、一定の余裕を持った資金計画を作ることが重要です。

宿泊投資では「買えるか」より「取得後に回せるか」

宿泊M&Aで最も避けたいのは、

物件を取得することに資金を使い切ってしまうことです。

宿泊施設への投資は、取得した瞬間がゴールではありません。

 

取得後には、

・運営

・採用

・集客

・修繕

・設備更新

・借入返済

が続きます。

 

そのため、

取得価格を払えるかだけではなく、

取得後も十分な手元資金を残して事業を運営できるか

まで考えて初めて、資金計画が完成します。

 


まとめ|宿泊M&Aは「総投資額」から逆算して考える

ホテル・旅館・民泊・簡易宿所などを取得する際には、売却希望価格だけで資金計画を立てないことが重要です。

基本的には、

総投資額
= 取得価格
+ 取得諸費用
+ CAPEX
+ 開業・引継ぎ費用
+ 運転資金

として考えます。

 

そのうえで、

① 総投資額はいくらか

② 自己資金はいくら投入するか

③ いくら融資を利用するか

④ 取得後にいくら手元資金を残すか

⑤ 総投資額に対してどの程度の収益・キャッシュフローを生み出せるか

までシミュレーションすることが重要です。

 

宿泊施設への投資では、

「1億円で買える旅館」ではなく、「総額いくら投資して、年間いくらのキャッシュフローを得られる旅館なのか」

という視点で案件を見ることが、投資判断の第一歩になります。

 


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本記事は、宿泊施設のM&Aおよび許認可に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の案件に対する法律・税務・行政手続その他の専門的助言を行うものではありません。

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